【自作品紹介】×情。

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 ご購入いただいた方、本当にありがとうございます!!!!!。・゜・(/Д`)・゜・。感涙

 こんにちは、いずみちひろです。

 今回も、私の小説の紹介をさせてください。

   

 タイトルの読み方は、私は”ばつじょう”って読んでますが、ぺけじょうでも問題はないですw

 ×することが禁止された国で、×を持っていると疑いを掛けられたカップルが、無実を勝ち取るために×情審判を戦う、というのがメインストーリーとなっています!!

 ×に入る文字、まぁバレバレだとは思うのですが、×が禁止されているので、作中でももちろん使われていませんし、現代日本において×を使った熟語なんかも全て別の言葉に置き換わっています。

 これを書くきっかけは、作中に出てくるとある女の子がバシッと台詞で言ってくれていますが、当時の若かった自分が抱いていた疑問といいますか、世間の風潮に対しての批判といいますか、そう言ったものを否定したかったんじゃないのかなぁって……なんかそんな感じです、はい。

 書籍化する前に書き直したのですが、当時は完璧と思えていた作品も、年月経って見直してみると……ホントひどいのがわかるっていうのが勉強になってよかったです。

 この本だけは本当にたまーにですが、売れてくれたりしますので、レビューを書いていただいた見知らぬ誰かさんですが、本当にありがとうございますとすごく感謝をしております。

 素敵なレビューを書いていただいて、本当にありがとうございます。

 元気がないときはたまに見返しています、本当にw

 この本を含め、文章量だけは一丁前に文庫本くらいの量になっています。

 なぜなら、ラノベの新人賞に送った作品だからです笑

 まぁ、選考結果は言わずもがなですね……(吐血)

 電子書籍化した最初の本なので処女作としていますが、本当に一番に書いた話は別にありまして、そちらは大事に寝かせてあります。

 本当に実力がついた時に、リライトしたいなと考えていますが、積んでいる作品が多すぎるので、まだ当分先になりそうです。

 前置きが長くなりました。

 よろしければサンプルを読んでいただけたら幸いです。

----------(ここから)----------

 *

 教室の中に足を踏み入れた瞬間だった。クラス中の視線が俺に一斉に収束し、そして、外された。

 登校してきた俺を出迎えたのは、クラスメイトの、突き刺さるような眼光だった。

 朝の教室内に立ちこめている不穏な空気に息苦しさを感じながらも、俺は中央の列最後尾にある自席へと向かう。

 鞄を机横のフックに引っ掛け一息つくも、一向に室内が換気されたと感じることはなかった。

 すでに俺の姿を確認している生徒は皆無である。それは気配で感じ取れた。

 机に向かい自習をする者、複数で群がって談笑する者。

 一見するといつも通りで、全国探してもどこででも見つけられるような教室風景なのだ。

 しかし、そんな彼らの背中から放たれる、オーラというか雰囲気というか、目には見えないが確かに存在している『何か』が、教室内に隙間なくびっしりと詰め込まれているような閉塞感が拭いきれないのだ。

 この室内を蝕んでいる違和感の正体を明かしてくれたのは、俺の幼なじみであり親友でもあり、同時に悪友でもある男、加島利樹であった。

「お前、今すぐ水島と別れた方がいい」

 俺の席まで足を運んできた利樹は、真剣な面持ちで忠告をよこした。

「真実と? どうしてだよ」

 俺は不機嫌を表に出さないように注意しながら言葉を発した。

 なぜ急に水島真実と別れろなどと言うのか、理解ができない。

 真実とは、付き合って三年になる俺の彼女である。

 本名は水島真実といった。

 だけども、悲しいかな、俺と真実の関係は恋人同士というよりもむしろ友達の延長線という表現の方がよく言い表せているなと自覚はしていた。

 なぜかと問われれば、理由は複数考えられるのだが、一番の原因は、友達だった時間が長すぎたため――であると信じたい。

 しかし、だ。

「どうして今さらそんな忠告してくるんだよ。俺と真実の関係は昨日今日始まった関係じゃないんだぞ」

 俺と真実が付き合い始めた当初、利樹は俺達の交際に反対をしていた。

 だが、それはもう三年前の話になる。

 それを今更思い出したように別れろなんて言われたところで、抵抗したくなるのは当たり前だろう。

 まあ、抵抗しているのは三年前から変わっていないのだから、初めから聞く気はない、ということになるのだろうが。

 だが、利樹は別にふざけているわけでも意地悪を言っているわけでもなかった。

「誰かが、お前ら二人の関係に×(ペケ)があるって、先公にチクった奴がいるんだ」

 利樹は周りを気にしながら、小声で俺に耳打ちした。

「えっ?」

 驚きが素直に声に出てしまった。

 この驚きは、利樹の言った『×(ペケ)』という単語にではなく、告げ口をされたという事実に向けられたものである。

「誰がそんなことを――」

 俺も利樹に倣って、耳打ちしながら小声で話し掛けた。心臓がバクバクと鼓動が強くなり始めていた。

「わかんねえけど、朝からクラスはその話題で持ちきりだ。放課後か、もしくは七時間目のHRには『×情審判』があるぞ、ってな」

「審判て、もうそんなレベルなのか……」

 さーっと、頭から血が引いていくのがわかった。

 血の気が引くなんていう体験を、まさかこんな教室の自席ですることになるなんて、思ってもいなかった。

 ×情審判で有罪の判決が下ったら、俺と真実は間違いなくこの高校を退学させられるだろう。

 それは非常に忌々しき事態である。

「お、俺と真実は別に、そんな関係じゃないよ。他の奴らと一緒で、ただ付き合ってるってだけだ」

 利樹に弁解しても仕方のないことなのはわかっていた。さらに悪いことに、俺の声量は周囲に聞こえるほどの大きなものになってしまっていたようだ。

 俺は咄嗟に、慌てて口を両手で塞ぐなんてベタなことをしてしまっていた。

「わーってるよ、んなこと。だが、審判は避けられそうにねえだろうな」

 利樹はわざとらしいため息と共に肩をがっくりと落として見せた。

「その情報、確かなのか?」

 出自のわからない情報ならばまだデマである可能性が残されている。

 だが、

「残念だが……」

 利樹はためらう素振りを見せながらも、はっきりと告げた。

「噂の広まり方が尋常じゃねえし、朝のSHR(ショートホームルーム)の時間が過ぎても担任は現れない。臨時で職員会議が開かれてるって話だ」

「そんな……」

 俺の声はらしくもなく震えていた。

 どうしてなのだろう?

 他のクラスメイトだって俺と真実のように付き合ったりしているというのに。

 それなのに、他の連中は良くて、俺と真実はいけないというのは、一体どういうことのか。

 どうして俺と真実の間にだけ、『×』があるって言われてしまっているのか。

 それはものすごく理不尽なことだ。

「心配するなって」

 利樹が黙り込んだ俺の背中を、バン、と一度だけ強く叩いてきた。喉の奥に詰まって固まりかけていた空気が、すうっと抜けたような感じがした。

「お前と水島の関係は親友の俺がよーく知ってるって。弁護は俺に任せときな」

 そう言うと利樹は白い歯を覗かせてニッカリと笑った。

「お前と水島は別に行き過ぎたことはしてねえし、『×』しあっているようにも見えねえ。噂がデマだってことを公言すれば、お前らの無罪は確定だ」

「利樹……」

 親友の言葉に、不覚にもジーンときてしまった。いかんいかん、と頭を左右に振る。こんな悪友の言葉に感動しちまうなんて。

「まあ、大船に乗った気でいやがれよ、親友!」

 大口を叩いた利樹は席に座っている俺の肩に腕を回してきた。利樹の体重の半分くらいが、肩にずっしりとのしかかってくる。まさに持つべきものは親友である、ということなのだろうか。

 などと感謝の気持ちを抱き始めた矢先に、利樹は俺の耳元で、

「で、実際お前らの関係とやらは、一体どこまで進展しているわけだい」

なってことを訊いてきやがった。

「はっ?」

「キス――はとっくの昔に終わってるとして、その後の攻略はどこまで進行してんだ? 弁護の参考にするから……ほれ、頼れるお兄ちゃんに全部話してみ?」

「アホか」

 こいつは……今までの親友発言をすべて撤回させていただくことにした。

 しかも腕がじわじわ締まりだしてくるので、俺は利樹の腕を払おうとした。

 だが、利樹の腕はそう簡単に解けない。さらに抵抗すればするほど締まりがきつくなっている気までしてきた。いや、それは気のせいなんかではなかった。

「答えによってはお前を有罪にして牢屋にぶち込んでやるからな、覚悟しとけよ」

 天使と見せかけて、実は死神だったのか、親友さんは邪悪な笑みを浮かべながら俺を殺しかけている。

 ダメだ、呼吸が困難になってきた。

 俺は首もとに回った利樹の腕を必死にぽんぽんと叩く。ギブアップ宣言だ。

 それでやっと腕をはずしてくれた。

「冗談だよ、冗談。本気にすんなって」

 利樹は笑いながら、バンバンと俺の背中をならしてきた。

 覚えも無い罪状でまさに崖っぷちの状況にいる俺を、不器用ながらも元気づけようとしてくれる親友の姿に、正直、助けられた。

「ありがとな」

 気がついた時には、口からはそんな言葉がこぼれだしてしまっていた。我ながら、らしくない台詞だ。

「バーカ」

 俺の正面に立ち直した利樹は呆れ顔で、座っている俺を見下ろして言った。

「礼を言うのはお前らが無罪を勝ち取った後だ」

 そう言い残すと利樹は、俺に背を向けた後軽く右手を上げ、自分の席へと戻っていく。

 遠ざかっていく背中が少しだけいつもより大きく見えた。

 普段、一緒にバカやってばかりの親友を頼りにするのは久しぶりのような気がする。

最後に頼りがいがあると感じたのは、たしか幼稚園に通っていた頃、俺が近所の犬に追いかけられていたのを、犬の注意を惹きつけて助けてくれた時以来かもしれない。そういえばその犬を連れてきたのは確か鳴海で、俺は彼女が逃げるための囮にされたんだったか……。今となってはいい思い出――なわけがない。

「あ、そうだ」

 途中何かを思い出したように立ち止まった利樹は、顔だけこちらに向け、

「水島を元気付けてやんのはお前の仕事だぜ」

 親指で教室前方の扉付近を指差した。

 言われるまでもない。

 俺は席を立つと、不自然にかしこまったように座っている、水島真実のもとへと向かった。

 *

『×ヲ禁ズル。

 国内ニオイテ、×モシクハソレニ準ズル語オヨビ×ノ外来語訳語ノ使用ヲ禁止スル。

 国民ハ万事ニオイテ、思考ニサエモ、×ヲ持チ込ンデハナラナイ。』

 俺らの住む国から『×』が消えたのは、二年前。

 その日は、突然に訪れた。

 テレビやラジオ、新聞、雑誌、漫画、小説、歌――全てから、『×』という文字が、言葉が、思想が、消されてしまったのだ。

 紙面に印刷された『×』という文字は黒く塗りつぶされて虫食いとなった。

 歌謡曲にも問答無用に訂正が施され、ところどころに『ピーッ』という電子音が加えられるようになった。なんか嫌らしい感じの曲になったなって感じたのは俺だけではないはずだ。

 急速に、確実に、この国は変わっていった。

 俺らの身近な場所で『×』が追放されるのも、あっという間だった。

 ×を語ることはもちろん、考えることさえも悪とされた。

 特に二十歳を過ぎ社会的に大人と認められた者への取り締まりは厳しく、×規制が始まってすぐの頃は捕まる者が相次いだ。

 ×を語る行為は、殺人の次に重い罪とされたのだ。

 もちろん不満は出た。

 それでも、『×』を抹消する流れは、止まることはなかった。

 ×してはいけない。

 ×を感じてはいけない。

 ×を芽生えさせてはいけない。

 この国は、×を忘れた国となった。

----------(ここまで)----------

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